概要
この事例では、既存のX線検査装置に保存された画像データを、ほぼ同時にAIによってダブルチェックすることにより、しきい値検査では判定が難しい対象物を検査しています。
本検証では、AIによって良品がラインを通過するべきでない製品(不良品を模したもの)として判定される確率を0.01%まで抑えることを達成しました。
既設ラインについて
- 既存ラインはアルミパウチ製品またはトラヴィス製品(自動的に蒸気が抜ける機構が付いた、電子レンジ調理が可能なレトルトパウチ)を製造しており、比較的大規模な生産能力で稼働しています
- このラインには異物検査用にX線検査装置が設置されており、X線透過率を利用した異物検査を実施しています
お客さまからの初期のご要望
既設X線検査装置では検知できない、あるいは検知に適していない内容物を、既存検査機で撮像した画像データを利用して、ライン能力に合致するようにオンラインで検査することはできないか、といったものでした。
また、検査精度(良品を良品と判定する精度)を高く維持するとともに、「無駄ばね率」(良品であるのに検査NG品と判定する率)を0.01%以下に抑えたいというご要望もありました。
弊社のご提案と手法
- 弊社独自開発の、転移学習を用いた教師データ有りの深層学習型AIを使用
※AIの検査能力は1製品あたり200ms (0.2秒)を下回ります - ハードウェア側の制御連携を含めたタイムチャートを製作、排斥などの処理とライン能力の適合を確認
- 既存機をそのまま使用してラインを構築するために必要な要素を検証
※主に、ネットワーク系の項目を調査 - AIの検証時には、19,000枚のX線検査画像データ(グレースケール)を取得
また教師ありAIを用いるため、不良品を模した画像データをオリジナルのソフトウェアを使用して2,800枚生成、学習に利用 - 判定精度を飛躍的に向上させるために、グレースケール画像に適した処理をAI側のソフトウエアに追加
弊社のご提案と手法に基づく検証の成果
- 実際のデータ(28万枚)を使用して無駄ばね率0.01%以下の検査AIを構築することに成功
- 内容物の検査だけでなく、パウチの噛み込みと思われる事象の検知も実現
今後の展望
無駄ばね率が3%代のソリューションもある中で、飛躍的な精度のAI検査実現が期待されます。
当検証での知見に加え、並行して新規開発した 「教師なしAI * 」を使用することで ”未知” の良品とは異なる特徴を持った製品を検知するAIの構築を進めていきます。
* 教師なしAIアルゴリズムは食品製造工場様に特化したシナリオベース型のAIで、不良品発生数が非常に少ない、または不良品の内容がいまだ明確でない製品の検査への使用が期待されます。
※当アルゴリズムに関しては、学術会議「2022 IEEE International Conference on Big Data (Big Data)」にて論文を公開しました
AI検査の検証実施について
X線検査画像のダブルチェック検証に加え、AI検査デモ機を用いた外観等の有彩色画像の撮像検査検証の実施が可能です。
詳細はお問い合わせフォームよりご連絡くださいませ。